株式会社ミラテック

社長発~人生哲学

代表取締役社長 滝野 賢治

~スケート選手時代から今も自分自身に言い聞かせていること~



● ハンデは長所を創造する、現状を嘆くな、いじけるな

 今の仕事を始める前、私は17年間もスケートばかりしていたのですが、そもそも生まれたときから喘息とアトピー、小児結核、極端なアレルギーで6年生まで運動を出来なかった。かっこよく走ったり球技の得意な友達を後目に殆どの体育の時間を見学して過ごしていた自分にとって、かろうじて通わせてもらえたスケートは唯一のプライドであり、一点集中できる大切な時間でした。

 何でもできる子であったなら、勉強そっちのけでここまでしなかったでしょう。一点集中したからこそ、物事を極めたときに広い視野であらゆる事態に経験を生かしていけるのだと思います。



● 継続こそ力、途中で辞めるな

 哲学の世界や経営の世界ではよく「続けている限り失敗ではない。途中で辞めるから失敗になるのだ」といわれます。

 私のスケートで言えば、全日本を4連覇し、世界選手権を4年間も経験しましたが、高校二年までは全くうだつの上がらない3流選手でした。病弱な幼少期を過ごしたため当たり前の体力も持てず成長しましたので、スポーツ選手としては才能無しとされていました。

 しかし、ずっと駄目だったからといってその先も駄目とは限らない。人との出会い、強いコーチ、良い環境、知識の向上など、辞めずに続けていることである日突然道が拓け、チャンスが訪れる。
 また、ほんの少しトレーニングすることで、ある限界を越え、突然急成長する。大切なことは向上心を忘れず、本当に好きで自分が望んで楽しく努力すること、またその事を幸せだと感じることだと思うのです。

 私より遙かに才能がありながら辞めていった選手たちが引き替えにしたものがあまりにも安易なものであることを考えたとき、仕事も人生も継続が重要な要素であることを実感します。



● 能力無ければ人の倍努力しろ

 人生の困難の殆どはどんなに能力・素質が無くても並はずれた努力でカバーできると思っています。問題は一つのことに集中してそれを極めるのだと自分で決心できるかにかかっていると思います。

 他人の花は赤い、他の可能性や他の道は楽でスムースで魅力的かも知れません。自分の道がいつもイバラの道に見えます。でもそれは一点集中で、人並み以上の領域に入ろうとしているのですから楽なはずがないのです。

 趣味の世界とプロの世界はそもそも外見は同じでも全く別物です。今人より遅れていても必ず挽回できる、いつか追いつくと信じて他の可能性は全て捨て、今選んだ道を極めるまでやり遂げなくてはなりません。



● 人生時間切れになるな

 継続して努力するのはいいのですが漫然と努力していたのでは鳴かず飛ばずで人生が終わってしまいます。これでは続けた満足しかありません。それでも良ければ良いのですが、もし成功を目指しているなら結果が必要です。

 いついつまでにこうなる。 今年中に日本ランクで何位になるなど、具体的な目標と期限が必要です。 スケートで言えば、どう考えても20代でアマチュア選手は大抵引退しなくてはなりません。それなら20代の間にチャンピオンにならなければいけないのですから、その期間内にチャンピオンになる努力が必要になります。当たり前ですがこれが大変だったのです。私の場合、全ての時間をスケート一点に注ぐしかありませんでした。

 今社長になって大きな目標がありますが、仕事に納期があるように、私と同様全従業員の人生を含め、時間切れにならないよう目標達成の期限を守ることが最大の課題です。



● 成功者は謙虚になれ、協力者に感謝しろ、みんなで勝利せよ

 私がスケート選手時代、日本トップのポジションをキープするのに欠かせなかった恩人たちに下記の通り恵まれました。

・3人の日本人コーチ
・ウェイトトレーニングを指導して下さった日本唯一元世界チャンピオン ボディビルダーの先生
・各界の著名なプロ・アマスポーツ選手が神の手と呼んでいた鍼灸の先生 ・芸能人などのヘアーデザインもしていた美容師の先生
・カナダのヘアデザイナー
・日本の衣装のデザイナー
・カナダの衣装デザイナー
・5人のカナダコーチ ・3人のカナダ人振り付け師
・世界一のブレード研磨職人 ・カナダの父母と慕った方
・在カナダのお世話になった日本人の方々
・資金を出した親 等々


 今会社を支えているのは新旧様々真面目に仕事して下さる全従業員、過去の従業員、支持して下さるお客様、誠実に働いて下さる取引先、経営の指導者など数えればきりがありません。一体社長がナンボのもんなんでしょう。 小さな一つの役割でしかないはずです。滝野というスケート選手がチャンピオンになることで関わった全員がチャンピオンであったように、今の当社の目標は取引先を含む全関係者の目標であり、全員の成功をかけて我々は戦わなくてはならないのです。



● 切れるほど精度の高い行動をしろ

 選手時代、特にチャンピオンになってからは、戦いは氷の上だけではありませんでした。大きな大会に向けての生活はケガの原因、精神的に崩れる原因、病気の原因、人間関係悪化の原因など考えられる全てのマイナス要素を避け、ひたすら選手としてのレベルを上げ続けるために努力していました。

 特に全日本、世界選手権などは、ホテルの部屋での過ごし方、食事の時の振る舞い、ホテルから競技場への道のり、道具の準備、トップとしての言動から行動、全てが完成された動きをするよう心がけていました。その全てが勝つための必要要素だったのだと思います。そこから生み出される緊張感は他の選手にとっては「近寄ったら切れそう」と言われたほどです。集中し張りつめた状態から競技本番でのミスは発生しません。この様に言い切れます。勝負は意外なところで既に決まっているものです。

 経営においても商売は「牛の涎(よだれ)」と言われますが、決してダラダラとやり過ごすことではなく、改善を繰り返し、精度の高い行動で仕事を継続することだと考えています。仕事のミスは緊張感の欠如が全ての発端であると確信しています。品質管理にこれで良い、マナーや日々の行動にもこれで良いという地点は存在しないと思います。これからも全社を高め続け、もっといい仕事をしたいと思っています。



● 場を磨け、道具を磨け、徹底して磨け

 選手時代の私の道具に対するこだわりは徹底していました。

 スケート靴は常に磨かれて完璧な状態であることは無論のこと。ブーツとブレードを止めるビスの錆、ゆるみなどは決して許されず、靴紐の捻れなどもなくいつ履いても素晴らしい状態で保っておりました。同じく衣装にはシワや汚れは皆無で、自分で用意していた修理の道具なども行き届いており、大変充実していました。それほど完璧な状態を保つとやはり競技でミスをするということは考えられません。今している仕事も正に同じです。

 汚い車に乗っている人はすぐ事故をおこす、インクだらけ、埃だらけの機械ではきれいなものを作ろうとする意識にはなりません。散らかった机上では物忘れの連発です。全ての基本は場を清める、道具を磨く、自分を磨く事だと考えます。



● 遅刻するな、ルーズになるな

 私が現役選手の時、平素の練習において自分に課していたルールがありました。

・ 誰よりも早くスケートリンクに到着する
・ 準備運動を充分に行う ・ 誰よりも先に氷の上におりる(誰かを先に行かせない)
・ 誰よりも最後まで練習する


 このルールを毎日守るとどうなるか。私が練習するスケートリンクは私を中心とした場所になります。 この重要性は一言では説明できませんが、我々の練習に対しては皆が真剣になってくれます。

 仕事にこれを置き換えると、平素真剣に、完璧に仕事に取り組んでいる人の仕事は周囲もミスをしません。きっとそんな努力をしている人の仕事が回ってきたらミスできないのだと思います。

 経営者でも偉くなってくると出社時間がだんだんと遅くなる。毎日毎日朝一から出てくる必要はないにしても、朝の会社の様子、昼間の業務、夜最後の会社の様子、これを知らないで経営ができるのか。全従業員がもしもこの全てを把握していたら、きっと自分の能力に奢り傲慢になることなく、皆が支え合ってこその豊かさや給料であることを自覚し、もっともっと人に感謝して仕事ができると考えます。



● 人生はトータルで見ろ

 成功のためにいかにあるべきかをいつも考えていますが、人生の各地点においては必ずしも成功しなくてはならないとは思っていません。

 成功とは何を基準に言うのでしょうか。私は運良くスポーツで日本のトップになりましたが、毎年各競技のチャンピオンは1人だけです。では2番手以下は人生に失敗しているのかと言うことになりますが、当然ながら私はそう思っていません。大切なことはやはり全ての面で精一杯努力することだと思います。

 私はいつも全日本選手権においては誰にも負けない努力をし、プライドをかけて戦ってきました。誰よりも素晴らしく、誰よりも感動する演技を目指していましたが、そのライバルは必ずしも順位の近い2番手3番手ではなかったと思います。技術的には確かに数段格下でも、腕も折れよ、足も折れよと凄まじく滑る5番手や6番手の演技には観客も惜しみなく大きな拍手を送ります。

 確かに体力や才能、経験や環境などで順位の差はつきますが、自分の与えられた環境の中で命懸けでトレーニングしてきた選手は技術やセンスを越えた感動を見るものに与えます。私がトップとして何があっても負けてはならないと思っていたのはそういったスピリットの部分であったのです。 そういう人はスケート選手としてはその時その時代を5番手6番手で終わったかも知れませんが、目一杯の努力をした経験が次の人生で生かされています。プロになってから花開いたり、事業を興し経営で成功したり、メディアで活躍したりと、やはり良い人生を歩んでいます。逆に上位にいてそこそこ活躍した選手でも、心の磨かれていない人は、引退後何故かパッとしません。これは無論チャンピオンにも当てはまります。

 人生をトータルに考えれば、選手時代など、ある年齢のある時期でしかなく、単に通過点です。人生も企業経営もロングスパンで見れば、勝ち負けはあっても成功のチャンスは継続して訪れると信じています。



● 降りかかる災難は全て人生の必要要素、どんなに嫌でも受け入れろ

 幼い頃から今日まで自分で災難だ不幸だと思ってしまったことはキリがないくらいありましたが、大学2年頃から気付き始めたのですが、自分に降りかかった試練は、平素真摯に努力している限り、大抵は未来と繋がっており、良きことの前兆であったように思います。

 この気づきがあったからこそ、もう駄目だと思っても「後もう少し!きっと良いことがある」といつも信じていられるのだと思います。



● 権力者は心を高めろ、自分の使命を自覚しろ

 社会の中で力関係は厳然として存在しています。点数を出す側もらう側、お金をもらう側払う側、評価をする側される側、強い方と弱い方、当社の方針書の中で、選手時代から私が大切に思っていることを2つ挿入しています。

・ ひとこと言葉を発するにも二度考えてから
・ お客様には100%頭を下げよ、仕入・下請け先には120%頭を下げよ


 この二つはどちらも傲慢にならないための戒めとして書いていますが、部下をむやみに放言して傷つけない、権力を振りかざしてしまわないために、いつも意識に置いているものです。人間ですからいつもすぐ忘れてしまいますが、いつも自分の心を高め、傲慢さを抑えるよう努力したいと思っております。