vol.35 歴史を知る、先人の歩みを知る、大切な「記念誌」 第2回

2014/12/25


記念誌の編集がもたらすメリット【編集方針とコンセプトワーク・編集手順】

●記念誌の編集がもたらすメリット
記念誌の編集をするという事は「記念誌の発行ができる組織である」という事を意味し、組織が確かな努力と年月を積み上げてきたという事実を表します。単に時間の経過だけでは良質な記念誌を発行することはできません。
また、記念誌の編集をするためには毎年の事業計画が存在し、それに基づいた努力とその記録が文書、写真、映像等で詳細に記録されているという事が必要になります。さらにそれらの歴史を振り返り、様々な角度から文書化ができるという事が後世に残り、幅広く世間のお役に立つ記念誌が発行できることになります。このことは逆に言えば近い将来の組織の節目を目標にこのような確かな歴史を歩み、それをしっかりと記録し、記念誌の発行を目指すことで、組織の運営がより精密且つ前向きになるのです。

●編集方針とコンセプトワーク
第一回でお話した通り、記念誌の発行は「単なる記録や記念品」としてだけではなく、時代の変化にさらされる次世代の「経営や運営の指南書」としての役割を果たす存在となります。組織の歴史を文書化し、様々な記録を編集し、印刷・製本をすれば記念誌は完成しますが、その前に大切な事があります。それは「編集方針」を明確にするために記念誌がどういう存在であってほしいかをあらわす「制作コンセプト」を導きだし、決定することです。vol.37にてコンセプトワークの重要性をみなさまにお伝えしましたが、30文字前後で文書化されたコンセプトに基づいて全ての原稿が創られます。たとえ外部の方から寄稿文を頂く場合も、コンセプ卜に基づいて書いていただければコンセプ卜通りの寄稿文を頂けるという事になるのです。もしもコンセプトが明確でないままに社内で原稿を作成したり、外部の方に寄稿文を書いていただいたならば、全体としてまとまりがなく歴史を断片的に寄せ集めただけの記念誌になってしまうでしょう。それほど「編集方針=コンセプ卜」を明確lこするという事は重要且つ編集の大前提であると言えます。

(参考)次のコンセプ卜はある全国規模の経営塾の支部で発行された20周年記念誌のコンセプトの例です。
『お読みいただく全国塾生の皆様の企業経営のお役にたつ広報誌』(全ての原稿はこの方針に基づいて寄稿・制作された)

●編集手順
記念誌の発行が決まり、編集委員会を組織したならば、二通りの視点からスター卜すると編集は大変スムースに進みます。
二通りの視点とは、
  1. 目次から制作する
    記念誌の全体像を決めるに際してはその内容を目次で順序を含めて決定し、列挙する方法です。
  2. 歴史年表を制作し、それに基づいて原稿創りを行う。
    年表を詳細に作ってみると、組織の歴史が明確になり、年表に基づいて内容を詳細に決めていくことができます。
この二つの視点を持つことで必要な内容が網羅され、必要な原稿の漏れを防ぐことにつながります。

●ページネーションの決定と原稿リストの作成、原稿の依頼
原稿を依頼する前にページネーションを概ね決定する必要があります。つまり、目次の内容を網羅した場合の総ページ数、各ページや項目に対する文字数、文字の大きさ、それに基づいて原稿を依頼する際の文字数の決定、写真の配置と写真のリスト、必要な場合は撮影リストとその日程など、それらを決定して初めて各方面に原稿制作を依頼することが可能になります。
ページネーションが決まり、組織内部で各担当者や選ばれた人がコンセプトに基づいて原稿を作成したり、外部の方に寄稿文を依頼する場合、大切な事は目次や歴史年表に基づいて決定した編集順序、すなわち目次の順番にリスト化した「原稿リスト」を作成し、原稿リスト、写真リスト、依頼者、依頼先、文字数、そして未入稿・入稿済みのチェックを含めた管理を行います。この「原稿リスト」で入稿状況を日々チェックすると共に、編集作業をする印刷会社に全ての原稿を確実に渡すと共に、せっかく依頼して書いていただいた原稿が掲載されなかったり、写真が抜けたりなどのトラブルを防ぎます。


編集方針とコンセプトワーク・編集手順まとめ
①コンセプトワークによる編集方針の決定(編集方針を30文字前後の文章で表現する)
②目次・歴史年表を作成し、掲載内容を決める
③ページ、ネーションを決定し・原稿リストを作成し、原稿の依頼をスター卜する




この記事はミラテックマンスリーリポートvol.8より抜粋しています。